今週のコラム 「『盤石の財務基盤』を次世代へと繋ぐ」 [第1話] 経営者の「覚悟」こそが事業成長の礎(いしずえ)

御存知の方も多いと思いますが、世の中の企業総数が400万社前後あるうち、中小企業は99%強を占めています。このコラムを読んでいただいている方々の多くも、間違いなく中小企業経営者でしょう。

日本が経済的に活性化するためには、1社でも多くの中小企業が成長して、儲かって、強い会社として永続することが必要でありますし、絶対にそうなって欲しいという願いを込めて、今日からコラムを発信していきます。読者である中小企業経営者の皆さんへのいくばくかの刺激になれば望外の喜びです。

さて、以前私のセミナーに参加された小売業を営む中小企業経営者と、セミナーの合間にお話しする機会がありました。御本人は創業者である父親から事業を引き継いでいる2代目経営者でした。

その時に「御社の今後の理想は何ですか?」とお聞きしたところ、「経営的な問題も特に感じていないし、事業は現状維持で構わない、自由にできる時間をもっと増やして好きなゴルフなどで遊びたい。」と何のためらいもなくお話されていました。

しかしながら、その方の会社は特に将来に向けての打ち手を探っている様子も伺えず、昔からのお客様で何とか食い繋いでいるようにお見受けしました。言葉はキツイですが、現状維持で満足している状況ではないのは明らかなのに、その危機感の無さにとても残念な思いを抱いたことを今でも良く覚えています。その方とはそれきりで、連絡を取り合うこともないので、今どうなっているかは分かりません。

経営者の基本的思考として拡大路線を取るのもありですし、取らない選択肢もありです。拡大路線を取らない場合であっても、現状に甘んじるのではなく、今の事業をさらに磨き上げて、競合他社が逆立ちしても勝てない強みを作り上げる必要があります。どちらの道を選ぶにしても、経営者の覚悟があってこそ、それが夢物語ではなく、現実のものとなってくるのです。

先に紹介した2代目経営者の方は、残念ですが、御自身の事業経営に対する覚悟が極めて希薄だったと言えます。それ自体はその方の個人的価値観にも通じるものなので、良し悪しについては言及しません。

しかし、このことは言えるのではないでしょうか。覚悟の希薄な経営者が会社を現状維持できる可能性は低いですし、ましてや、今以上に経営状態を良くすることなどできません。

覚悟を持った経営者の周囲には、同じく覚悟を持った人間が集まってきて、陰になり日向になり支援してくれるものです。逆の場合は言うまでもありません。

経営者が事業を成長させるためには、一番の根底に「覚悟」を持っているか否かが命運を握っているのです。

あなたは、経営者としての「覚悟」を、肚落ちしたレベルで明確に持っていますか?