今週のコラム 「『盤石の財務基盤』を次世代へと繋ぐ」 [2020年2月10号] 不一致はいじくり回さない。

子どもの頃、小遣い帳をつけていた人も
 多いのではないでしょうか?

僕はその一人でした。

僕の場合、日記と同じで、
 毎日つけるのはなかなかできない。

なので、1週間まとめてつけるのです。

すると、サイフの中身と合わない。

合わない場合、

だいたいが、小遣い帳よりも
 サイフの中身の方が足りない。

 だいぶ足りない・・・(汗)

思い出そうとしても、一週間まとめてだから、
 それゃ無理だ!

思い出せない。

しょうがないから、

ブタの貯金箱
 (だったかどうか分からないけど)から、
 足りない分を取り出して、サイフに入れる。

ようやく合った。

これで、小遣い帳は完璧!
 (どこが完璧じゃい!(笑))

とガッツポーズを取ったかどうか、

いずれにしても、
 一安心した記憶があります。

子どもながら、
 こんな帳尻合わせをやっていたんですね。

今さらながら、懐かしく思い出します。

今日は
 こんなことに絡めたお話しをしたいと思います。

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以前、僕が御相談を受けたお話しです。

 その会社、いろいろあって、
 10年程前に、現在の経営者が
 その前の経営者から経営権を引き継ぎました。

その際に、何の引継ぎもなく
 引き継いでしまったとのことです。

その時、顧問税理士からこんな事を言われたそうです。

「預金の銀行残高が帳簿残高と比べて
 XX万円足りない。
 このままだと、足りない分は
 代表者である貴方が会社からお金を借りたこと
 になってしまう。
 それでは、税務署の貴方に対する見方が
 マズくなるので、
 『期末だけは、銀行残高を
 帳簿残高に合わせることをおススメする』」

(なぬっ?)
 (この税理士先生、何いってるんだろうか?)

会計経理の知識が
 それほど十分でないその経営者は、
 当時の顧問税理士から言われるままに、
 友人知人からお金をひっかき集めてきて、
 銀行に預け入れて、
 期末日時点だけ、
 銀行残高を帳簿残高に合わせたそうです。

そして、

翌期になるやいなや、
 銀行からお金を引出して、
 貸してくれた友人知人に返すのです。

こんなことを
 毎期毎期繰り返していたそうです。

僕はその一連の流れを聞いた時、
 あ然としました。

 「実際の残高を帳簿に合わせろだって???」

「なんだそれは!!!」

 「こんなバカげたアドバイスをする会計人が
  本当にいるのだろうか!」

「合わないから、
  期末日だけ帳尻だけ合わせろだって?」

「会社の経理処理は
  ゲームなんかじゃないんだよ!」

「しかも、意味のない入金をさせて、
  期が明けたら、また返済させるだって?
  こんな無意味なことを
  何年も繰り返させていたのか?」

「君は、本当にプロの会計人なのか?」

僕は、顔を見たこともない
 その顧問税理士くんに、
 心の中で問い掛けていました。

あくまでも、
 帳簿というものは、
 会社の実際の動きの
 「写し鏡」のようなものです。

 帳簿残高が実際残高と比べて、

大きければ「帳簿残高を減らす」。
 小さければ「帳簿残高を増やす」。

ただ、これだけです。

そして、
 この帳簿残高を
 動かさざるを得なくなった原因を、
 経営者と一緒になって
 徹底的に究明するのが、

顧問税理士の責務です。

その過程で、
 税務上の問題の有無を探っていくのです。

 繰り返しますが、

会計帳簿は
 「実際の会社の動きを、
 数字を使って言語化しているだけ」
 です。

それ以上でも、それ以下でもありません。
 主役は、
 実際の動きのみ、です。

いずれにしても、
 こんな言語道断な会計人は、
 全体のごくごく一部であることを祈りたい。

ほとんどの会計人が、
 顧問先の経営者を
 日夜必死にサポートしていることを
 僕は知っています。

 小学生の頃、僕がブタの貯金箱から、
 サイフにお金を移して
 小遣い帳に合わせていたのは、
 御愛嬌として(笑)、

会社の経理処理は、
 やるべきことを、やるだけです。

 預金や現金の帳簿残高と、
 実際残高との不一致、

これは残念ながら
 日常的に生まれます。

大事なのは
 その不一致を、
 いじくり回すことなど一切せずに、

見つけ次第、
 間髪入れず、原因追求することです。

ぼやぼやしていると、
 次なる不一致が、
 テトリスのピースように
 どんどん降ってきて、
 どんどん積み重なっていきます。

すると、
 原因追求することなど、
 ほぼできなくなります。

 余談ですが、
 経理は潔癖症くらいな人が
 向いているのかも知れません。(笑)

 

今日も最後までお読みいただき、

 ありがとうございました。
 次回もまた当コラムでお会いできる
 のを楽しみにしています!