今週のコラム 「『盤石の財務基盤』を次世代へと繋ぐ」 [2020年4月18日号] 言ってないから言えない、やってないからやれない

以前、知り合いの経営者が、
 僕にこんな事を言いました。

「村上さん、今まで僕は、
 従業員のことをちゃんと分かって
 接してきたつもりだったけど、それが
 単なる思い込みだったんですよね。」

「えっ?どういうことですか?」

「いやね、
 こないだ一番早く会社に出社して、
 ある社員の机に座ったんですよ。
 そしたら、僕が彼にどれだけ
 プレッシャーを与えているのか、
 手に取るように分かったんですよ。」

また聞きました。
「えっ?どういうことですか?」

「いやね、その社員は僕から見たら、
 頼りない部分があるんだけど、
 将来性を見込んでいたので、
 彼のために良かれと思い、
 他の社員よりも厳しく接してきたんです。」

「そうですか。」

「でも、分かったんです。
 彼の机に座った瞬間に。
 彼の机に座ると、
 僕の机からの視線が
 突き刺してくるように感じるんです。
 彼にとっては、僕が社長席から発する
 叱咤激励と無言の視線は、
 恐怖でしかなかったんです。」

「なるほど。」

「僕は、その日のうちに席替えをして、
 彼が僕からのプレッシャーを感じない
 位置に席を移しました。
 その結果、今までよりはるかに
 のびのびと仕事に取り組み、
 僕の期待に応えるようになりました。」

「それはよかったですね。」

「いやね、僕が彼のために良かれと思って
 続けてきた厳しめの指導の意図は、
 わざわざ言わなくても、
 本人はちゃんと分かっていると
 思い込んでいたのですが、
 全く本人には伝わってなかったんです。
 それが分かったので、
 それ以来は、彼のレベルを超える仕事を
 させる場合には、ちゃんとその意図と
 期待する将来像を伝えています。」

そんな素敵なことを話してくれました。

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日頃、
 言葉に出していないことがあります。
 行動に出していないこともあります。

ある時、
 それらを
 急に言葉や行動に出そうとしても、

なかなかできません。

これは、
 スポーツと同じです。

スポーツをやる時、
 準備運動をやって、
 その次は、基本練習をやりますよね。

つまり、
 基本練習の中に織り込まれている基本動作を
 身体に染み込ませていないと、

大事な本番の時に、
 全く身体が動かないのです。

だから、
 当たり前のことのようですが、
 繰り返し繰り返し、
 日々の基本練習で叩き込むのです。

「そんな簡単なこと、
 分かり切っているから、
 取り立ててやる必要なんてないんだ。」

なんて、うそぶいていたら、
 後で大火傷します。

 仕事の場面でも同じです。

分かり切っていると思える事だからこそ、
 繰り返し伝えるのです。

分かり切っていると思える事は
 実は、
 伝わっていない場合がほとんどです。

以心伝心は、
 強固な信頼関係があって
 初めて成り立つ関係性です。

日頃の積み重ねが大切です。

 

今日も最後までお読みいただき、

ありがとうございました。

 

 次回もまた当コラムでお会いできる
 のを楽しみにしています!