今週のコラム 「『盤石の財務基盤』を次世代へと繋ぐ」 [2020年5月29日号] 納税嫌い、これは危険

世の中には、
 納税を忌み嫌う経営者が
 たくさんいます。

気持ちは分かります。

必死に経営して納めた税金が、
 自分達のために
 まっとうに使われているかどうか
 不透明だからです。

これが、
 欧米だったら、
 大規模なデモが起きるでしょう。

 日本人はそのおとなしい国民性からか、
 そういう実力行使はほとんどやりません。

 だからといって、
 税金に不満がないわけではありません。

それどころか、
 その不満はマグマのように
 経営者の意識に溜まります。

 その結果、
 「税金なんかビタ一文払いたくない」
 という発想が生まれます。

この気持ちはよく分かります。

そこで、
 今日お話しする会計手法についてです。

 今日は、

「節税は必要。
 ただし、ある事が分かっていれば」

について、お話しします。

 経営者が納税を忌み嫌う理由は、
 とてもシンプルです。

つまり、
 税金で持っていかれなければ、
 その分だけ、
 会社にお金が残るからです。

とても分かり易い理由です。

 さて、
 ある会社のP/Lが、

 売上  100
  原価   60
        ——-
  粗利   40
  経費   20
        ——-
  税前利益 20
  税金    8
        ——-
  当期利益 12
       =====

だったとしましょう。

 納税を忌み嫌う経営者は、
 翌期は、
 どこに焦点を当てた経営をするでしょうか?

正解不正解はありませんが、
 こんな事が考えられます。

 税金を減らすために、

・経費を増やす
 ・粗利を増やさない
 ・売上を増やさない

 「売上や粗利を増やさない」
 などとは、

経営者の立場上、
 口に出して言うわけはありませんが、

潜在意識の中で、
 税金を減らすために、
 無意識にブレーキを踏む
 可能性があり得ます。

 これは、
 企業を存続させる重責を
 負っている経営者にとって、
 あるまじき思考です。

 上記は極端な例ですが、

納税を真底忌み嫌っている経営者の場合、
 十分にあり得る話です。

 なので、
 今日のタイトルにもあるとおり、

一にも二にも節税、

を標榜している経営者は
 非常に危険です。

 会社の成長発展に、
 経営者自ら無意識に
 ブレーキを踏む危険性が
 あるからです。

 改めて、
 今日お伝えする会計手法

「節税は必要。
 ただし、ある事が分かっていれば」

をどう捉えるべきでしょうか。

 確かに、
 節税は必要です。
 会社の内部留保を増やすからです。

それでは、
 節税を実行する上で、
 分かっているべきある事とは?

 それは、

「会社として、
 獲得すべき利益を獲得した上で、
 結果として、納税すべき税金は払う」

ということなのです。

 単純なことに見えるかも知れませんが、
 実はこれ、
 単純なことではありません。

 年間の目標利益というものを達成しつつ、
 それに基づいた税金を納税するのです。

 つまり、
 目標利益の達成という
 「内部留保の増加」と、

納税という
 「内部留保の減少」といった

相反するものを受け入れる必要が
 あるからです。

 もちろん、
 節税対策は
 顧問税理士の指導のもと、
 最大限考慮する必要はありますが。

 くれぐれも注意すべきは、

商談の際に、
 納税のことなど考えない、
 ということです。

「この商談が成立すると利益が上がり、
 納税が増えてしまう。」

などという、
 笑い話のような思考が、
 無意識に出てこないとも
 限らないので。

 いずれにしても、
 今日の会計手法、

「節税は必要。
  ただし、ある事が分かっていれば」

経営者としてぜひとも肚落ちしてください。

 

今日も最後までお読みいただき、

ありがとうございました。

 

 次回もまた当コラムでお会いできる
 のを楽しみにしています!