今週のコラム 「『盤石の財務基盤』を次世代へと繋ぐ」 [2020年6月1日号] 月次決算は不要、年一で十分

「ウチは月次決算なんてやってないんです。
  決算は年度末にまとめてやっています。」

以前、ご相談に来られた経営者の弁です。

とても印象的で、
 おそらく、多くの経営者が「ウチも同じだ」
 と思うかも知れないので、
 今日はこの話をします。

 改めて、
 月次決算の意味を簡単に説明します。
 (そんなの分かり切っていると
 思った方は読み飛ばしてください。)

 会社は事業を行う中で、

・商品サービスを販売し、
  会計処理では「売上」として処理されます。

・商品サービスを仕入れ、
  会計処理では「売上」として処理されます。

・経費を支払い、
  会計処理では「経費」として処理されます。

 こういった動きを、永久運動の如く、
 ずーっと繰り返しています。

それを、どこかで区切りをつけて、
 儲かっているのか儲かっていないのか?

儲かっているならば、
 税金を払ってもらおうと、
 無理やり、事業年度という区切りのもと、
 国に税務申告をさせられているのです。

その事業年度を12ヶ月に区切ったものが、
 月次決算の期間です。

なので、税金を納める点だけで考えた場合、
 年次決算で事足りるのであり、
 必ずしも月次決算は要りません。

 ではなぜ、
 月次決算は必要なのでしょうか?

 ここで分かりやすいように、
 例え話をします。

 「あなたが半年で
  6㎏のダイエットに挑戦する」

としましょう。

 さて、
 ダイエットを始めたあなたは、

半年間体重計に一度も乗らずに、
 半年後に体重計に乗って、

6㎏減ったかどうか、
 確かめるでしょうか?

たぶん、
 そんなことはしないでしょう。

むしろ、
 毎日、体重計に乗って、
 一か月1㎏のペースで減っているか、
 チェックし続けるのではないでしょうか?

なぜか?

それは、目標からズレていた場合、
 手遅れにならないように
 軌道修正をかけるためです。

企業経営もまったく同じです。

経営者は、

「今期はこれだけの売上と利益を上げよう」

といったいった目標を掲げて、
 新しい事業年度をスタートします。

(何も目標も掲げずに、一年をスタート
  するような経営者は、別の意味で
  問題があります。)

 さて、
 経営者は、

月々の自社の売上がどうなっているのか、
 利益がどうなっているのか、
 気になります。

 その場合、何をすべきでしょうか?

そうです。
 月次決算の結果をチェックします。

そして、

「いかん、このままでは、今期の目標とする
  売上高や利益にはるか及ばない。
  業績低迷を挽回するための手を
  すぐにでも打たないといけない。」

と判断を下し、すぐさま施策を打つわけです。

 これが仮に、

「月次決算などしなくて構わない。
  年度決算のみで十分だ。」

と考えている経営者の場合、
 どうでしょうか?

 決算月の翌々月に
 ようやく年度決算が固まることでしょう。

その場合、どうなるでしょうか?

業績が低迷していても、
 事業の軌道修正を
 期中で打つこともできないし、

最悪の場合、
 資金ショートにすら気付かずに、
 ある日突然、Xデーを迎える怖れだって
 十分にあり得ます。

 世の中には、いろんな経営者がいます。

月次決算を軽視している経営者も
 かなりいることと思います。

彼らは、自らを非常に危険な状況に
 置いていることをほとんど認識していません。

言い換えれば、
 自分のリテラシーの低さが原因で、

自分の家族、社員、社員の家族を
 路頭に迷わす方向に進んでいる
 ことすら気付いていないのです。

 今日お話ししたかった、
 経営者が肚落ちすべき会計手法は、

「月次決算は、
  事業の軌道修正のために不可欠なもの」

でした。

 

今日も最後までお読みいただき、

ありがとうございました。

 

 次回もまた当コラムでお会いできる
 のを楽しみにしています!