今週のコラム 「『盤石の財務基盤』を次世代へと繋ぐ」 [2020年6月3日号] 事業計画は作って終わり?

笑うに笑えない話をします。

社長以下、大勢の社員が関わって、
 大変な思いをして作った事業計画が
 あるとします。

さて、その事業計画は
 どういった運命をたどるのでしょうか?

 代表的なのが、
 皆さんの机の上の書類の間、
 もしくは引き出しの中、
 に置かれたままになることです。

そして、二度と開かれない(笑)。

こんな笑うに笑えない運命です。

 事業計画を作っている時は、
 新年度の目標を見据えて、
 皆で一生懸命になって、
 それを数字と文章で表して作るのです。

もちろん、
 通常業務をこなしながらの作業なので、
 深夜まで作業が及ぶこともあるでしょう。

 そうまでして作った、
 渾身の事業計画がなぜ、
 机の肥やしになってしまうのでしょうか?

 それはズバリ、

「事業計画を使い倒すことが
  仕組みとして定着していないから」

です。

 ここで月ロケットの例え話をします。

(もちろんロケットの専門家ではないので、
  素人の推測を交えながら
  書かせてもらうことをご容赦ください。)

地球からロケットを発射して、
 月に向かうとします。

地球上の管制センターでは技術者総出で、
 ロケットの軌道を監視しています。

ロケットには
 「要求される軌道」というものがあります。

これに対し、「実際の軌道」があります。

管制センターでは、
 ロケットの実際の軌道を
 24時間体制で計算し、

常に、
 「要求される軌道」と
 「実際の軌道」との乖離状態を算定します。

 そして、
 その乖離状態が極小になるように、
 実際の軌道を微調整しながら、
 月に近づけていきます。

やがて、
 要求される軌道に沿ったロケットは、
 無事に目的地である月に到着します。

 さて、もしこれが、
 地球を出発して、月に近づくまで、
 その軌道の乖離状況を
 全く把握もせずにいたらどうでしょうか?

 間違いなく、
 ロケットは月に到着することなど
 不可能でしょう。

なぜか?

 月に到着するために、
 絶え間なく行うべき「軌道修正」を
 やらないからです。

 ・目的地が明確になっている。

・目的地に到着するための
  「要求される軌道」が明確になっている。

・「実際の軌道」が把握できて、かつ、
  「要求される軌道」との乖離状況が
  明確に把握できている。

・目的地に到達するまでの間、
  乖離状況を絶え間なく軌道修正している。

この4つの条件を満たしているからこそ、
 ロケットは見事に月に到着できるのでは
 ないでしょうか。

 会社経営も、
 このロケットの場合と全く同じです。

・目指す方向が明確になっている。

・目指す方向に到達するまでの
  小刻みの目標が明確になっている。

・会社の現状が常に把握できて、
  かつ、「小刻みの目標」との乖離状況が
  明確に把握できている。

・「小刻みの目標」との乖離状況を
  絶え間なく軌道修正している。

 以上からお分かりと思いますが、

 「目指す方向」と
 「そこに向かうまでの小刻みの目標」を、

数字と文章で表したものが
 「事業計画」なのです。

常に把握している「現状」とは、
 「月次決算」なのです。

「事業計画」と「月次決算」を比較して、
 乖離状況を是正していくのが
 毎月の「経営会議」なのです。

 このように事業計画は、
 作っただけで、使わなければ、
 全く意味がありません。

それどころか、
 作るのに要した労力と時間を
 無駄にするようなものです。

そうです。
 事業計画は、
 会社の軌道修正を常に行うための
 「航海の羅針盤」のようなものなのです。

 今日お伝えした会計手法は、

「事業計画は作るだけでは意味がない。
 会社の軌道修正に使うことによって
 初めて意味を持つ。」

です。

経営者の皆さん、
 ぜひ肚落ちしてください。

 

今日も最後までお読みいただき、

ありがとうございました。

 

 次回もまた当コラムでお会いできる
 のを楽しみにしています!