今週のコラム 「『盤石の財務基盤』を次世代へと繋ぐ」 [2020年6月9日号] 利益が足りなきゃ給料を調整しよう??

事業計画のタタキ台が出来上がり、
 最終利益を見たところ、
 前期より少なくなっているとします。

この時、経営者が何を考えるか、
 これハッキリ言って分かれ道です。

何の分かれ道かって?

社員が付いてくるか、
 離れていくかの分かれ道、
 という意味です。

 A経営者はこんな指示をしたとします。

 A経営者曰く、

「下げられる経費はないかな?
  細かい経費なんていくら縮めたとしても、
  焼け石に水だよな。
  家賃は大きいけど、
  契約で決まっているしな。
  そうだ、
  従業員の給料なら金額はデカいから、
  ほんの数パーセント下げただけでも
  効果はあるだろう?
  ちょっと試算してみてくれ。」

 経理責任者がこんな指示を、
 受けていたとしたら、
 どう思うでしょうか?

「うちの社長は、
  俺たちのことをその程度でしか
  見てくれていないのか」と。

その落胆した気持ちは、
 間違いなく同僚に伝わります。

そのマイナスの影響たるや、
 ハンパないでしょう。

 一方、B経営者は、
 同じ状況に対して
 こんな指示をしたとします。

B経営者曰く、

「前期と同等の利益を稼ぐには、
  あとどれだけ売上を上げる必要が
  あるのか?
  そこのところを検討してくれ。
  次に、原価率を下げられるかどうか。
  あと粗利率を上げられる方法がないか。
  まずはここから。
  その次に経費をチェックしてみてくれ。
  無駄な経費は必ずあるはずだ。
  塵も積もれば山となるというくらい、
  少額の経費でも見逃すな。
  あとくれぐれも従業員の給料は
  調整しようとするな。
  これは最後の最後だ。」

 経理責任者がこんな指示を、
 受けていたとしたら、
 どう思うでしょうか?

「うちの社長は、
  俺たちのことをちゃんと見てくれている。
  会社のために俺たちで何とか
  役に立たないとな。」と。

社長に対するその感謝の気持ちは、
 間違いなく同僚に伝わります。

そのプラスの影響たるや、
 ハンパないでしょう。

 さて、
 A経営者は、
 非常に大切はことをご存知ありません。

一方で、B経営者は、
 そのことを熟知しています。

 それは何か?

 ズバリ、
 「従業員の給料は、
  通常の経費と同じではない。
  これだけは別格の経費だ。」

ということです。

 分かり易くお伝えします。

 当たり前のことですが
 従業員は人間です。
 モノでもロボットでもありません。
 心があるのです。

仮に、
 自分が会社から全く信頼されていない
 と分かれば、
 途端にその会社に嫌気が差してきます。
 そして、呆気なく辞めていきます。

逆に、
 会社が自分が信頼されていると分かれば、
 忠誠心を持ってくれます。

多少辛いことがあっても、
 会社を辞めることなく
 耐え抜いてくれます。

 これだけではありません。
 従業員は些細なきっかけでも、
 やる気を持った瞬間から、
 進化成長を始めるのです。

 たとえば、
 同じ100万円の機械を買ったとしても、
 その機械は100万円分の仕事しかしません。

しかし、ある社員に同じ100万円の
 給料を払った場合、

彼は成長すればするほど、
 100万円どころか、
 300万円分500万円分の仕事を、
 平気でしてくれるのです。

 そうです。
 従業員は、
 会社の未来を創ってくれる、
 未来創造マシーンのようなものです。

だから、
 従業員の給料を、
 ありきたりの経費と
 同等に扱ってはダメなのです。

まさに「未来費用」として、
 別扱いすべき性質を持っているのです。

 今日お伝えしたかった会計手法は、

「従業員の給料は並みの経費ではない。
  会社の未来を創る未来費用である。」

です。

 経営者の皆さん、
 ぜひとも肚落ちしてください。

 

今日も最後までお読みいただき、

ありがとうございました。

 

 次回もまた当コラムでお会いできる
 のを楽しみにしています!