今週のコラム 「『盤石の財務基盤』を次世代へと繋ぐ」 [2020年6月17日号] 無借金経営は借入金ゼロ?

無借金経営。

いろいろな受取り方があるでしょうけど、

いずれにしても、
 経営者であれば、
 実現したい境地の一つではあるでしょう。

ただし、この無借金経営。

経営者によっては、その定義がまちまちです。

「村上さん、
  無借金経営ってよく聞きますが、
  それって、銀行借入金がゼロ
  ということですよね。
  ウチみたいな中小企業で、
  そんなことができる会社なんて、
  あるんでしょうか?」

以前、お知り合いの経営者に
 こんな事を言われたことがあります。

銀行借入金がゼロ
 →借入金が無し
 →無借金

だから、
 借入金がゼロの会社は、
 無借金経営の会社。

こんな図式が成り立つ経営者の方々も
 いらっしゃるのではないでしょうか?

ズバリ言います。

世の中、無借金経営の会社は
 数多く存在します。

しかし、
 銀行借入金ゼロの会社は、
 ほぼ存在しません。

つまり、
 無借金経営の会社でも、
 銀行からお金を借りているのです。

具体的な数字でお話しします。

ある会社のバランスシート(貸借対照表)を
 想像してください。

現預金 1億円
 借入金 9千万円

が計上されています。

この会社、銀行から9千万円借りています。
 でも、立派な無借金経営の会社です。

つまり、
 銀行に借入金9千万円を
 すべて返済したとしても、

現預金として使えるお金が、
 1千万円残っているのです。

無借金経営とは、
 実質無借金経営とお考えください。

「実質的な」無借金経営のことなのです。

借入金が9千万円あったとしても、
 実質的に使えるお金が1千万円あれば、
 立派は無借金経営の会社です。

例えば、

無理して9千万円の借入金を
 返済したとします。

無借金経営であることには
 変わりはないのですが、

その結果、
 元々1億円あった使えるお金が、
 わずか1千万円に減ってしまいます。

これでは、今後、

・新商品を開発するとか、
 ・新市場を開拓するとか、
 ・今回のようなコロナのような
  異常事態が起きて売上が止まうとか、

等々のケースが起きた場合、
 間違いなく軍資金が「ほぼゼロの状態」に
 陥ってしまいます。

なので、借入金を無理して返そうとせずに、
 自由に使える資金を確保しておくことが、
 経営安定に繋がるのです。

なおかつ、
 借入金を上回る現預金があれば、
 なお素晴らしいです。
 そんな無借金経営を目指してください。

 今日お伝えしたかった会計手法は、

「無借金経営とは、借入金ゼロではなく、
  実質的な無借金経営のことを指す」

です。

経営者の皆さんは、
 ぜひとも肚落ちしてください。

 

今日も最後までお読みいただき、

ありがとうございました。

 

 次回もまた当コラムでお会いできる
 のを楽しみにしています!